本コーナーは、恐慌の現実に翻弄される日本企業の実態をリポートしたドキュメントである。
(1)もはや「核武装」しかない
このほど発表されたILO(国際労働機関)報告「世界の雇用情勢2012」によれば、世界が今後10年間、安定しながら成長し、社会の結束を維持するためには、世界で合計6億人の雇用を創出しなければならないとの試算を報告した。
しかし、「一部の東南アジア国ならともかく、失業率が今後、大幅に悪化すると予測される日本はおそらく蚊帳の外であろう」と予測するのが、知人の国内シンクタンクの研究員。
それは今後10年間での日本の「国家としての没落」「無秩序な社会不和の始まり」をも意味する。
以下はシンクタンク研究員との「雇用創出の限界」についての意見交換の一部である。
―― ILOの「世界で6億人の雇用創出」の試算は、確かに現実的な課題ではあるけど、日本を始めとした世界各国では原発停止などのエネルギー政策の見直し論議もあり、雇用創出と言っても、それを担う新たな大型産業が出てこない限りは、どう考えても難しい。
「しかも今後10年間で新しい産業が仮に生まれたとしても、労働者の高齢化が進んでいる日本では、その流れに乗れるかどうかも疑わしい。可能性としては軍事産業ぐらいか。現在、石原都知事が新党結成で、大阪維新の会との連携も模索しているけど、石原都知事は核武装論者でもあるからね。もし第三局である新党が次の選挙で大勝したら、日本の核武装論が少しはマジメに議論されるかもしれない」
―― 確かに軍事産業という意味では、先進国でも遅れている日本は拡大の余地は大きいね。
「そうすれば雇用は創出される。もちろん周辺アジア国との緊張関係は増すけど、雇用の維持を優先するなら、それが最も現実的な選択肢ではあるよね。ただ、この国の問題点は、民間主導の産業ならまだしも、官主導の雇用政策はとにかく後手。遅いの一言に尽きる。その代表格がカジノ誘致でしよう」
―― ああ、もう8年ぐらい前から国会も巻き込んで議論されているけど、なかなか進まないね。カジノができれば地域活性化、雇用創出にもつながるだろうに。
「本当、カジノ誘致なんかを見ているとこの国は本気で雇用創出に取り組んでいないことがよく分かる」
―― それで愛想を尽かした民間がどんどん海外に商機を見出そうと日本脱出を図っている。雇用創出どころか、雇用がどんどん流出しているのが現実だよね。
(つづく)




