本コーナーは、恐慌の現実を前に人生転落を余儀なくされた実話に基づくケーススタディある。
第3話.横行する「正社員ビジネス」
雇用形態は「正社員」だが、週に6日、15時間労働が当たり前の過重労働の坂間俊夫氏(25歳)。2年前からある大手居酒屋チェーンで副店長として働いている。
しかし、相次ぐ同期「正社員」の退職、リストラ。
先日も出世頭の同期で、店長として働いている仲間から、「このままでは殺される。死んだら元も子もない。その前に辞めようと思う」と伝えられた。
半年も1日も休みがなく、睡眠時間は2、3時間というその同期は、過重労働の疲れゆえだろう、20代半ばだというのに、見た目は40代であった。
「正社員なら、安泰だと思っていた。でも、職場の現実は非正規の派遣やパート、アルバイトと同等か、それ以上に人がどんどん辞める。これでは派遣切りと何が違うのか?正社員って、長期雇用を前提にしたものではなかったのか!」
日頃から疑問を感じ、たまっていた鬱憤。久しぶりの同期と酒を酌み交わし、それを一気に吐き出した。
同期は言った。
「正社員なんて、ブラック企業が人を採用するためのエサに利用されているだけ。そんな気がしないか?だって、正社員なのに、入社1、2年でほとんどの人が辞める会社なんて、非正規の派遣やパートと何も変わらない。実態は、派遣切りと同じ正社員切りが横行している」
「正社員切り・・・」
坂間氏は、ようやく「正社員という幻想」に踊らされていた自分に、気がついた。
ある人材開発の研究員がこんな話をしていた。
「現在、正社員ビジネスが隆盛です。どんな商売であっても、正社員、正社員と求人に謳っておけば、単純な労働者がホイホイと釣れる」と。
坂間氏はまさにそんな労働者の一人であった・・・。
(つづく)




